バイオフィリックデザインについて

人は元来 自然と触れ合いたい性質をＤＮＡに持っているという説をエドワード・O. ウィルソンが提唱したました。
１９８４年のことです。

この考えを バイオフィリア といい、長年の研究から、自然は人の心身に大きな影響を与え、
健康や幸福感という利益をもたらすことがわかってきました。

近年では、精神的な安らぎを感じるだけでなく 自己治癒力、免疫力をも高める との研究も進んでおり、
医療機関や施設には欠かせない視点といえるでしょう。

このバイオフィリアの考えを取り入れたデザインを、バイオフィリックデザイン と言います。

無機質になりがちな医療空間ですが、「自然味あふれるあしらい」をふんだんに取り入れ、
人工的なものも含め植物や生物の力を借りて工夫すれば、温かく心地良いものにすることができます。

アクアリウム はこれらの要素がふんだんに詰まったアイテムです。
水の揺らぎ、光を浴びて水流になびく水草、元気に泳ぎ回る魚たちを見ているとセラピー 効果は大きく、
身も心も癒してくれるはずです。

　

屋内に施された小さな 坪庭 ですが、自然を感じる癒しスポットです。

　

バーチャル天井 は自然光や窓の少ない閉塞的な空間においても、本当の空を見ているかのような、心身に有益なリラクゼーション反応を誘発します。

　

壁面緑化（本物の植物にはおよびませんがフェイクの壁面緑化もバイオフィリックデザインのひとつです。）

　

　

緑が人に与える影響

体調の良し悪しというのは、恒常性（ホメオスタシス）のバランスが良く保たれているかどうかによります。

つまり、体調が良い状態というのは、神経系（交感神経・副交感神経）、免疫系（抗体・抵抗力）、内分泌系（ホルモン）のバランスがとれている状態です。

※検証の仕方としては、血圧や脈拍などを測ることが多い

ですが、昨今のストレス社会においては、ストレスの影響でこのバランスが崩れてしまい、体調を悪くすることがあります。

病気を治療するのは医師しかできませんが、ストレスを緩和することで体調を良くする（自然治癒力を高める）ことは医師以外でもできます。

そのひとつが「緑と関わる」ことです。

緑（植物）による健康効果とは、植物と関わることでストレスを軽減し、人が持つ「自然治癒力」を高め、
体調を元の健康状態（良い状態）に戻すことなのです。

　

実際に緑（植物）でストレスが軽減されるという実証結果もあります。

以下の実験は、屋内において視界に入る位置に植物を配置した場合と、植物が無い場合とで、
ストレス負荷後のストレスホルモン（唾液コルチゾール）の変化を検証した結果です。

引用文献：岩崎 寛（千葉大学園芸学部）ら（2006）
屋内空間における植物のストレス緩和効果に関する実験
日本緑化工学会誌 32巻 1号 p. 247-249

　

唾液コルチゾール増加率が大きいほどストレスが高いことを示しており、
視界に入る位置に植物を設置することで、ストレス緩和効果があることが明らかとなっています。

大切なことは植物が「視界に入る」ことです。同じ空間にあるだけでは意味がありません。
邪魔にならないように部屋の隅に置くのでなく、目に入るところに置くことが大切です。

　

観葉植物や壁面緑化、フェイクも含め、緑を上手に取り入れることで、少しでもストレス軽減に繋がるよう、
弊社でも医院デザインにおいて心掛けています。

　関連ブログ記事はこちら